練り香水の基本的な作り方のページで、練り香水を作る材料の一つとして紹介している蜜蝋について、蜜蝋とは何か、管理人自身はどんなものを使っているのか、各種の蜜蝋のうち、何が使いやすいのかなど、もう少し詳しく解説したいと思います。
蜜蝋とは、ミツバチの巣から取れる蝋のことです。元々は、ミツバチの体内で作られるもので、ビーワックスとも言います。
蜜蝋は、ミツバチの巣を取ってきて、加熱して採集します。主成分はパルミチン酸ミリシルだそうで(私、化学の知識がとぼしいので、パルミチン酸ミリシルが何ものなのか、まったく分かりませんが)、漢方薬にも使われており、人の口に入っても問題ない物質です。
蜜蝋は、化粧品の乳化剤としてよく使われるため、コスメ好きの方には、聞きおぼえのある名称だと思います。また、キャンドル作りに使われることも多いので、アロマキャンドルを手作りするような方は、よくご存知でしょう。
現在では、蜜蝋をネットで購入しようとして検索すると、ほとんどコスメ関係のショップがヒットしてくるので、「蜜蝋=化粧品」の印象が強いですが、古代エジプトでは、絵の具の材料になったり、中世のヨーロッパではロウソクの原料になったり、人類が幅広い使い道を見い出してきた素材です。
蜜蝋は、保湿力が高く、肌にも優しいです。また、少しの熱で柔らかくなり(融点62〜65度)、冷めてくるとすぐに固さを取り戻すので、加工がしやすいワックスと言えます。家庭で、素人が扱うには、かなり使いやすいワックスです。
手作りの練り香水を作る際に、もっとも注意を要すべきは、蜜蝋の扱いです。
蜜蝋は、常温で固まるので、熱して液体になったものを、排水口に流してしまうと、詰まりの原因になることが考えられます。運よく固まらないで済む場合もありますが、最悪の場合は、業者を呼んで詰まり除去を頼み、数万円払う、などという、悲惨なことになります。
くれぐれも、蜜蝋を排水口に流さないように、ご注意ください。
出回っている蜜蝋の形状で、一般的な形は三種類くらいあります。
ペレット状か、板状か、ブロック状の三種類なのですが、扱いやすいのは圧倒的にペレット状です。コスメ材料として売っている蜜蝋は、ほとんどがペレット状なので、買うときに迷うことはあまり無いと思いますが、「どんな形の蜜蝋がいいのか?」とお思いなら、私は迷わずペレット状をおすすめします。
初めて練り香水を作る人や、多少不器用な人(管理人はこれに当てはまります)、多少適当な感じで作りたい人(管理人はこれにも当てはまります)などは、とにかくペレット状が手軽で面倒が無いです。
ブロックタイプだと、削らなくちゃならないのです。そういう手間が好きな人には、「手作りの醍醐味」があってよいのかもしれませんが、手軽に作りたい人には向きません。
私が、今後ブロック状を買うことがあるとすれば、よほど安いか(あまり無いと思いますが)、特に気に入ったメーカーや生産者ができ、そこの蜜蝋はブロックしかない、みたいなときだと思います。
蜜蝋を初めて買おうとすると、「黄色いやつ(黄蜜蝋)」と「白いやつ(白蜜蝋orさらし蜜蝋)」が売っていて、どちらを選ぶべきなのか、あるいはどちらでもいいのか?と疑問を持たれると思います。
ラベルを見ると、黄色いものには「未精製」、白いものには「精製済み」と書いてあります。どちらを選ぶのかは、私は好みで良いと思っており、個人的には未精製の方が好きです。
「精製済み」と「未精製」の特徴は、以下のようになります。
【未精製】
・色が黄色=漂白処理していない
・天然蜜蝋から、不純物を取り除いたもの(そのため、色も香りも残っている)
・薄甘い、蜜蝋本来の香りが残っている
・「精製済み」よりも、蜜蝋の有効成分が多く残っている
【精製済み】
・色は白色=漂白処理している(練り香水ファンにはあまりいませんが、自分で色をつけたいなら、精製済みが良いです)
・天然蜜蝋から不純物を取り除き、色や香りも抜いたもの
・無香(オイル以外の余計な香りを入れたくないなら、精製済みを選びましょう)
私が未精製の方が好きな理由は、正直言いまして「なんとなく」です。それほど大きなこだわりはありませんので、精製済みが嫌いなわけではありません。
しかし、精製済みを頑として嫌いな人もいて、理由は、
「漂白処理に使用した化学物質の残留が気になる」
「有効物質をわざわざ減らしたものは好きになれない」
というものが多いです。
成分や、製法にこだわりを持ちたい方は、ご自分が納得できる製造方法のものを買ったほうが、後で気持ち悪い思いをしなくて良いと思います。メーカー側も、色々研究していますから、化学物質を使わずに漂白している商品もあります。そういうものは、必ずそのようなポイントをアピールして売っていますので、説明書きをよく読んでみましょう。
反対に、未精製は絶対に使わないのがポリシーな人もいます。天然蜜蝋に含まれるアレルギー物質を警戒し、少しでもリスクの少ない精製済みを使おうという考え方です。
私は、意識の高い手作りコスメ好きさんからすると、かなりいい加減な楽しみ方をしているもので、「練り香水が作れるなら、本当にどっちでもいい」と思って使っています。
蜜蝋はコスメショップ、アロマショップなどで購入することができます。また、養蜂が行われている土地の道の駅などで、非常に素朴なものが売っていることがあります。もちろん、ネットでも売っています。
私は、大抵50g程度の量を買い、値段の目安としては、「50gで500〜700円くらい」のものを選んでいます。(世間の標準より安い基準かもしれません……)
ホホバオイルと違い、蜜蝋は長期保存がききますので(冷暗所に保存しましょう)、極端な少量買いはしません。しかし、300g、500gのように、大量に買ってしまうと、「いつ使い切るのかなあ……」という感が大きくなり、冷蔵庫の中で邪魔になったりもするので、私としては、基本的に50g程度が適当だと考えています。
実を言うと、私は以前には100g買いしていたのですが、あるときから100gも必要ないと思い始め、現在では50g買いか、それより少なく買うこともあります。(管理人がリアルに使っている蜜蝋は、ブログのこちらの記事に書いています→現在使っているミツロウ)
しかし、「保存できるなら、大口で買いたい」とう方は、当然その方が割安になりますので、一気に大量に仕入れても、全く問題ないと思います。また、大き目のアロマキャンドルを作るような方は、どんどん大量買いした方が、結局はコストを抑えられると思います。
気をつけた方が良いのは、「初めて練り香水を自作するために、蜜蝋を買おう」という方で、ほかに蜜蝋を消費する予定も特に無い方です。そういう方は、まずは20g・30g程度の少量買いにしておいた方が無難です。練り香水を、一回だけ作って飽きてしまう可能性が無いとは言えませんからね。例え1000円分でも、無駄にしてしまうのはもったないです。
蜜蝋は、もっとも一般的な手作り練り香水の乳化材ではありますが、「唯一の素材」ではありません。乳化材になるもので、肌につけてよいものなら、ほとんど何でも蜜蝋の代わりに使えると思います。私は、たまにミツロウに飽きると、植物性のワックス類を使います(当サイトでは、キャンデリラロウを使った自作練り香水の記事もアップしています)。
湯煎の手間が嫌で代用品を探している方は、加熱しないで混ぜられるワックスを使うと良いですが、それだったらワセリンでいいんじゃないかなあと個人的には思います。(加熱しないで良い乳化材はワセリン以外にもありますので、もちろん好きなものを使えば良いんですけど)
蜜蝋を買うのがめんどくさいという方もいると思います。そういう場合は、家にあるコスメ用ワックス類で使えそうなものを探して試してみるのも面白いと思います。
しかし、「どこのご家庭にもあるもの」で代用できそうものは、ちょっと思いつきません。(私は、無香のハンドクリームを使った荒々しくも適当な練り香水を1回作りましたが、あんましお勧めいたしません。そのときのことは、いずれ「悪い例」みたいな記事にしようと思っています)
入手した蜜蝋を、練り香水作り以外の方法でも使ってみたい場合には、以下の方法などを参考になさってください。
・手作りコスメ(リップクリーム、ハンドクリーム、フェイスクリームなど)を作る
・手作りキャンドルを作る